四天王寺学園

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 大阪府藤井寺市に所在する中高一貫校。と言っても、中学は2014年にできたばかり、高校は計画中(2017年度開校予定)というかなり新しい学校だ。

同法人は本校のほか、四天王寺四天王寺羽曳丘といった中高一貫校のほか、同大学、同短大を有する。本校には小学校も併設されている。

学部新卒月額で約28万円はなかなか高い。しかも期末手当も3回出るという。

開智(和歌山)

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さいたま市ではなく、和歌山市にある中高一貫校。アチラは1997年に中学校で開智を名乗り始めたが、コチラは4年早く1993年からである。旧校名は女子高の修徳高校といったようだ。

修徳」にしても「開智」にしても、どこにでもありそうな校名だ。恐らく仏教や中国の古典などから引用してくるから、多用されるんだろうが。

常勤講師の場合、22歳学部新卒で約21万円。専任だと「和歌山県職員給与規定をベースに優遇」だという。

f:id:RYUSUKE:20160803165519p:plain和歌山県高校教員の学部卒初任給は約20万円のようだ。恐らく常勤講師と変わらないということだろうか。

千葉明徳

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 千葉市にある中高一貫校。学部新卒の専任で月額約23万円、常勤講師で約23.7万円と、本校独特の給与計算方法によれば講師のほうが給料よくなるという逆転現象が生じている。

もっとも、講師には住宅手当や休日部活動の手当てがない。前者にかんしては明らかな差別である。他方で講師は部活動を見なくてよい、ということでもないだろうな。

横須賀学院小

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神奈川県横須賀市にある私立小学校。同法人による中高と隣接し、小中高一貫教育を実施するキリスト教系。

学部卒月額22万円で、2年ごとに1万円ずつ昇給。賞与額は不明。

中高英語免許所持者に小学校でどんな英語を教えさせようというのか。小学生に中学の内容を先取りして教えても効果は薄いと専らの評判である。

開明

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大阪市に所在する中高一貫校。旧称の大阪貿易学院から1995年に現校名に改名(ダジャレではない)。2001年度より中学1年より順次共学化し、06年に全学年共学化が完了した。

専任、常勤講師ともに学部(?)新卒月額約25万円はまあまあいい。賞与が専任5か月、常勤4.5か月なので、年額はそれぞれ約425万円、約413万円が見込まれる。賞与の額(月分)は、私立校としてはありがちな値かと。

ウィキペディアの情報を鵜呑みにすれば、現在本校では部活動は週3日しか認められておらず、また高2での引退が制度化されているという。学業に、というか大学進学に力を入れていることの証左であろう。

部活動から手を引いて運動部を弱体化させることは、学校改革の第一歩である。運動部を切ることは、そのまま即、体育科教員を切ることに直結しうるからである。

基本的に異動のない私立校教員のなかでも、他教科に比べて、体育科の教員は23歳で新卒で入職してから一度も他校を知らずに定年まで勤めあげるケースが突出して多いように思われる。

長くいればそれだけ発言力を増す。それだけ校内の要職にも就きやすい。かつて勤務した学校では、高校副校長、高校教頭の1人、総務部長、広報部長、生徒指導副部長が体育科で占められていた。そもそもひとり体育科ばかりが専任教員、常勤講師が多く、非常勤講師は皆無であった――体育科の優遇策については経営者の思惑もあったように思われるが、詳しいことは言えない。

埼玉県の開智に勤務経験のある人物から、同校の改革について聞いたことがある。埼玉第一から開智へと学校を作り変えるときにまず行われたのは、体育科の教員を減らすことだったという。現在同校の体育の授業は、大半が非常勤講師で賄われているようだ。

私立中学を受験させるご家庭は、進学先の高校野球部が甲子園に行けるかどうかなんて全く興味はない。それよりも東大に、早慶に、医学部に何人入ったかだけが重要なのだ。その意味で、高校部活動、特に運動部に力を入れている(例えば、スポーツ推薦で高入生をとるような)中高一貫校は的が外れている。

鴎友学園女子

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東京都世田谷区に所在する女子完全中高一貫校。初任給が学部卒で約26万円、院卒で約29万円は、かなりいい。

本校における英語の授業の特徴は、低学年におけるオール・イングリッシュの授業である。文部科学省もそれを要求しているし、「国際派」の受験生やそのご家庭にもアピールできるだろう。

もっとも、全て英語で授業することが果たして効率がいいかは、甚だ疑問である。細かい英文法をどうやって英語で説明するのか、オール・イングリッシュの推進者たちに尋ねてみたいものである。

……英語の授業を全部日本語でやってもよいと主張したいわけでもないので、念のため。

「最低限度の生活」のために25歳は年270万円の収入が必要

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news.careerconnection.jp

本稿は私学教員の待遇とは直接には関係がない。

札幌市、すなわち地方都市で25歳の人が「健康で文化的な最低限度の生活」を送るためには、月収(税込)で約22万円必要だという記事を見つけた。25歳といえば、最短で大学院修士課程を終えた人が就業する年齢である。

この記事の元となっているのは、札幌市で一人暮らしをしている10~30歳代の若者を対象にした、北海道労働組合総連合(道労連)の調査である(但し、道労連のサイトでは「25歳」とは限定されていなかった)。それによれば、「最低限度の生活」を送るために若者には年額で約270万円(≒22万円×12か月)が必要であるという。

当ブログにおいて各校の新卒者の給与月額を紹介しており、それらは安くても20~22万円程度である。他方、ほとんど全ての私学において常勤教員には賞与も支給されているので(そう信じたい)、どの常勤教員も受け取る給料の総額は270万円をゆうに超えるはずである(重ねて、そう信じたい)。

さて思い返すに、大学院修士修了の筆者が20歳代後半で「埼玉県で一番給料が安い私学」で非常勤講師をしていたときは、月額で20万円もらっていなかった。もちろん賞与もなかった。しかもそこで3年も働いてしまった。

教員1年目で今の職場に移れたとも思えず、そこでの経験があったから今があるのは確かではあるが、往時同僚に「どこでもいいから早く常勤になれ」と度々アドヴァイスされていたのを思い出す。今にして思えば、非常勤では「健康で文化的な最低限度の生活」を送る収入に達していなかったのだ。