学校法人森友学園・瑞穂の国記念小学院 (2)

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http://kinki.mof.go.jp/content/000115032.pdf

上掲の画像は、大阪府豊中市の国有地が森友学園へと払い下げられることを審議した「第123回国有財産近畿地方審議会」の議事録の一部である。

それによれば森友学園の有する塚本幼稚園は「私立学校法人初の幼稚園」であるという。森友学園自身は「全国初の学校法人幼稚園」(コチラを参照)という言い方をしている。

どうやら、全国の学校法人のなかで一番最初に幼稚園を設置したのが森友学園である、という主張のようだ。

以下、時系列で年表をまとめる。

  • 1950(昭和25)年 塚本幼稚園 設立
  • 1953(昭和28)年 同 大阪府認可
  • 1971(昭和46)年 森友学園 設立

もっとも、日本私立学校振興・共済事業団が提供するデータベースによれば、森友学園の設立は1976(昭和52)年である(コチラを参照)。

1971年にせよ76年にせよ、この時点で全国で最初に幼稚園を設置したのが同学園というわけである。

ところで、例えば渋谷教育学園の設立は1951(昭和26)年(コチラを参照)、同学園の有する渋谷幼稚園は1949(昭和24)年の設立なので(コチラを参照)、1951年の時点で渋谷教育学園は幼稚園を有していたことになる。森友学園より少なくとも20年は早いことになるのだが。

「学校法人」について定めた私立学校法は1949(昭和24)年の制定なので、1971年まで幼稚園を有する学校法人がただの一つもなかったというのは常識的に考えても違和感がある。森友学園より幼稚園設置の早い学校法人はもっとたくさんあるのではないか。

学校法人森友学園・瑞穂の国記念小学院 (1)

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【募集】H28年度 小学校教諭募集(瑞穂の國記念小學院)|関西大学 教職支援センター

2016年度の募集である。

大阪府豊中市に2017年4月開校予定の市立小学校。本校の正式名称は「瑞穂の國記念小學院」(国と学が旧字体)であるが、ウェブ上での閲覧の便を鑑み、新字体にて表記する。

ただし本校がわざわざ旧字体を使いたがっていることそれ自体が、本校のイデオロギーを如実に表している。偏狭な日本愛国主義民族主義者はわざわざ旧字体を不必要なまでに多用する。もともとは戦前世界の憧れゆえにであったと思われるが、今となっては、そうすることがそれへの憧れを表していることを自覚している者がどれだけいるのかは、わからない。

設置者は当初「安倍晋三記念小学校」という校名にしたかったらしい。また「名誉校長」(ナンダソリャ?)には安倍昭恵首相夫人が就いている(いた?)。

月額は基本給21万円、手当2万円の計23万円。賞与は初年度2か月分の42万円、2年目以降は4か月分の84万円。従って1年目の年額は318万円となる。

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http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/14628/00000000/moderu.pdf

 大阪府における小学校教員の初任給と比較すると、2年目以降はほぼ同じになると思われる。つまり、同校の給料が特にいいというわけではないようだ。つまり、この学校でわざわざ教員をやるということは、同校のあの教育方針に賛同できる者だけ、あの教育方針に則ってわざわざ教育活動をしたい者だけであろう。

教員は自分の出身校を明らかにすべきか

ツイッター上のとあるツイートから。

小学校前で下校指導をしている先生の背中に【○○大学○○部】とあった。教員は仕事で自分の大学や高校の部活のジャージを着ている人が多いけど、私には理解しがたい。色々な人が見てるのに、あんなに堂々と出身校と部活を、、、。余計なお世話なのは重々承知だけど。でも、見ていて恥ずかしい。私は。

かつて勤めていたところの若い地理教師(といっても、同じくらいの歳だったと思うが)が"Hosei University"(法政大学)と書かれたTシャツを着ていた。文化祭の前日準備か何かのときだったかと記憶している。

生徒の大多数はあまり学力が高くなかったが、《それゆえに安直に》G-MARCHレヴェルの大学を目指す者が多かった。この教師を慕っていた女子生徒も法政大を目指していた。

配慮を欠いていると思ったし、あるいは自分の学歴を《そういう生徒たち》に自慢したいようにも見えた。つまり、底の浅い教師だなと評価を固めた。

他方で翻って我が身を顧みれば、同地では私も軽々に自分の出身校を生徒たちに披瀝してしまっていた。あるときから、あまり見栄えのすることではないなと思い始めたので、最後の年に初めて持った生徒たちには一切言うのをやめた。

その後移った職場では、生徒たちには一切言っていない。担当しているのが中学生だからということもあるし、そこの進学実績からすれば私の出身校など《普通以下》に過ぎなかったから、ということもある。

はっきり言って、あまねく教員は一定水準を遥かに超える学力や偏差値を持っているべきだし、したがって高学歴であり、難関大学出身でなければならない。

けれどもそのこと自体は一切自慢の根拠となりえない。なぜならそれは教員として《ごくごく当たり前のこと》だからだ。

twitter.com

志学会 (3)

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志学会(埼玉県北葛飾郡)で英語の専任教員を募集している。2016年末までしばらく英語の非常勤講師を募集してはいたが、年明けから専任教諭の募集へと切り替わった形だ。非常勤をとって、かつ、専任もとろうとしているのか否かは定かではない。

ところで同校の全校生徒は「50人」(2012年10月時点)だという。仮にこの人数が全日制高校における同学年、同一カリキュラムの集団であれば、教員は一人で足りる(1クラス50人という学校はある)。

同校は通信制なので全日制とは事情が違うだろうと前置きしておくけれども、新年度(2017年度)より同校の英語科教員は総替わりするのではないだろうか。

もう一つ。教職員募集において給与面の条件を「本校規定による」云々でごまかすのをみると、本当に職員を募集する気があるのかと疑いたくなる。

募集する側から見れば、同校がおカネの面で魅力があるかどうか判断できないので、何によって同校は応募する、勤めるに値する学校であると決めればよいのだろうか。「通信制高等学校の教育に」たいする「理解、情熱」などと言うのではあるまいな。

仮に少ない額しか出せないのであれば、その通り正直に公表すればよい。それでもなお応募してきた人こそが同校で働きたい人であるのだから、そういう人を採用すればよいのではないか。

shigakukai.ed.jp

2016年度限りで休校5校の校歌演奏(福島)

2011年3月の東日本大震災における原発事故によって立ち入り禁止となった区域に立地する福島県立高校5校が今年(2016年)度限りで休校する。12月18日(日)の「第35回県高校総合文化祭活動優秀校公演」では、特別企画としてこの5校の校歌が演奏されるという(詳しくは湯本高校のウェブサイトにおけるコチラ)。

休校する5校は浪江、同津島分校、双葉、双葉翔陽、富岡である。現在、浪江は本宮高(本宮市)、津島分校は安達高(二本松市)、双葉と双葉翔陽はいわき明星大(いわき市)、富岡は福島北高(福島市)、猪苗代高(猪苗代町)と静岡・三島長陵高(静岡県三島市)にサテライトキャンパスを置いている。

www.minyu-net.com

 

「私立中高の研究」を謳いながら、安易に公立高校、それも地方のにまで手を出したかと思うことなかれ。公私の別なくあまねく学校は公教育を担うものであり、公立学校にかんして考察を加えることは当ブログの関心事からは全く外れていない。

志学会 (2)

志学会(埼玉県北葛飾郡杉戸町)から学園祭の知らせが届いたことは、既報の通り。このほど、その学園祭は無事に行われたようだ。

www.facebook.com

ただ、そのプログラムを見てみると、生徒が行うアトラクションは少ないようだ。計1時間弱しかない。学園祭であるのだから、同校の生徒が何をしているのか、どのような生徒が在籍しているのが可視化できればよいと思うのだが、通信制学校だと難しいのだろうか。

プログラム
10:30~    開会あいさつ
10:45~11:15 元気バンド
11:20~11:50 杉の子吹奏楽
11:50~12:30 お昼休憩
12:40~13:10 生徒希望者のアトラクション
13:20~13:50 谷介
14:00~14:20 空手演武 白水修養会
14:25~14:50 生徒希望者のアトラクション
14:55~15:25 タッシー田代
15:30~    閉会あいさつ

同校ウェブサイトより引用。下線強調は引用者。

ところで、この学園祭の様子を写した画像を見ていて思ったのだが、同校の体育館は大変に立派で、大きいように見える。テレビなどの撮影や、さらにはそば打ち大会などでもしばしば使用されるのも頷ける。

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画像はいずれも上記同校のフェイスブックより、スクリーンショットにて取得。

志学会

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志学会は埼玉県北葛飾郡杉戸町に所在する通信制の高校である。同校より学園祭の知らせが封書で届いた。行ける日程ではなかったが、せっかく郵便で送ってくれたのだから、ブログで拡散するのが、せめてもの義理である。

 

『志音祭2016 音楽でつむぐ未来への~キズナ~』
平成28年11月12日 土曜日
10:30~15:30

詳細はコチラ

 

なぜ同校から直接封書が届いたか、つまり、なぜ同校が拙の連絡先を知っていたかといえば、理由は簡単である。以前同校に資料請求をしたことがあったからである。

同校の存在を知ったのは今年(2016年)になってからであった。かつて埼玉県の北東部で働いていたことがあり、そのときはすでに教育関係に従事していたわけだが、同校のことは全く知らなかった。かつての職場への微かな郷愁の念が、同校への興味関心の源泉となっている、とは言える。

しかし尚、同校が興味をそそるのは、同校が現在当ブログが関心を寄せている通信制高校であること、しかもスキャンダラスな通信制高校だからである。

同校が2002年に通信制高校として出発したとき、彰華学園という名前であった。その後2009年に真英舎学院と名前を変え、2011年に現校名となる。この間運営法人の名称あるいは法人そのものが変更され、法人幹部も短期間にコロコロと変わっている。真英舎時代には教職員への給与未払いで学校が一時閉鎖され、また裁判沙汰にもなっている。

同じく通信制高校であるウィッツ青山学園の一連の不祥事が示すように、通信制高校は現在、社会問題を大きくはらんでいると考えられる。それは大人の側、つまり経営者の不透明な経営や、教員の不適切な教育のみならず、生徒の側の不登校や中退なども含む。

通信制高校の諸問題を考える糸口として志学会を観察することが、当ブログなりの切り口である。