本校は私学教員の待遇研究とは関係がない。
高等専修学校は、しばしば「高専」と略される5年制の「高等専門学校」とは区別されなければならない。中学卒業後の進学先という点では同じであるが、根拠とする学校教育法の条項が異なる。
後者の高専が同法第1章第1条を根拠とするのにたいし、前者の高等専修学校は同法第11章第124条によって規定されている。すなわち高専はいわゆる「1条校」である。
以下に、同法第1章第1条および第11章第124条を引用する。
第一章 総則
第十一章 専修学校
学校の細かい設置基準は、入学する生徒や入職する教職員には差し当たり関係がない。他方で、高等専修学校は文科省に認可されれば、生徒に大学入学資格を付与することができる。従って生徒の側から見れば、高専や高等学校(高校)と、高等専修学校との違いはますます小さく、わかりにくく見える。
その違いの説明しにくさは、武蔵野東高等専修学校の校長の嘆きにも表れている。
校長がこのように嘆いた2006年から、2016年の現在に至るまで武蔵野東が高等学校ではなく高等専修学校のままであり続けるのは、高等学校への転換においてデメリットがあるか、あるいはその転換へのハードルが高すぎるかのどちらか、あるいはその両方だからであろう。
仄聞によれば、高等専修学校から高等学校への改組例は極めて少ないように思われる。そのなかで千葉市の桜林高は、高等専修学校から改組している。
1989(平成1)年に金剛学園高等専修学校として開校。2000(平成12)年に高等学校への改組、設置計画が認可され、翌2001(平成13)年に昼間定時制の「金剛学園高等学校」として開校する。2005(平成17)年に現校名へと改称し、翌2006(平成18)年に全日制を開設、定時制を廃止する。
同校が高等専修学校から高等学校へ転換した理由は定かでない。