埼玉栄

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埼玉県さいたま市に所在する中高一貫校

系列校として栄東、栄北高、花咲徳栄(はなさきとくはる)高などがある。佐藤栄(さとえ)学園が運営するこれらの学校の校名は「栄」の字を共通して持つが、それは言うまでもなく創立者、故・佐藤栄太郎に由来する――花咲徳栄の由来については同校はこじつけめいた説明をしているが、誰が納得しているのか。

一般企業ならいざ知らず、自分の(しかも下の)名前を学校名に入れるか? このことのみを取り上げても、同学園が創業家のワンマンであったことを窺わせる。

過日報じた秀明・秀明英光高がそうであるが、今年(2017年)度になって埼玉県私学各校は求人募集に際して待遇を明示するようになってきた。去年は、開智学園を除けば、「本校規定による」等で逃げる学校ばかりであった。

本校を運営する佐藤栄(さとえ)学園は、開智学園と並んで、埼玉県有力私学の一角である。そこが待遇を公開してきた。賞与は4から5か月分の間ということのようなので、最大と思しき5か月分で計算する。

初年度 年額:専任教諭/常勤講師(学部卒)

213,000(円 / 月額)×(12+5)(か月)=3,621,000(円)

初年度 年額:専任教諭/常勤講師(大学院修了)

220,000(円 / 月額)×(12+5)(か月)=3,740,000(円)

 

院修了の月額220,000円は安すぎである。学士と修士では大した違いはないと考えているのだろう――院修了者としては同意するところだが、同校がそう認識していることを、応募する院修了者は覚えておいたほうがいいだろう。

10時間授業:それってブラック学校・・・

とあるセミナーで本校の教員と話す機会があった。かつて埼玉県内の私学で働いていたことを話すと、盛り上がった。

「現任校は中学も高校も6時間目までしかないことに驚きましたね。前任校では8時間目までやってました。8時間目が終わるのは午後6時前ですよ」

栄「ウチは10時間目までやっていますよ。終わるのは午後9時です」

「えッ?」

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サポートシステム | 埼玉栄高等学校

 

正課の授業ではないにしても、恐らく(所属コースなどによっては)必修つまり強制受講である。これを一体誰が担当しているのか知りたいものだ。もし、朝からフルタイムで働いている常勤教員が担当させられるのだとしたら、お気の毒なことだ。

「主体的に放課後の時間を組み立てる」という文言は、一体何の冗談かと思わされる。生徒たちが本当に主体的に放課後の時間を活用するならば、強制的な講座は設けるべきではない。生徒たちは自分たちで考えて自学自習すべきだし、教師たちは彼らがそうしたくなるような指示や工夫を正課の授業に盛り込むべきである。

もっとも、能力の低い生徒たちは自分たちではそうした行動をとることができないし、また教師が促すことも難しい。だから放課後の強制的な補講は理には適っているが、それは翻って言えば、本校はそういう生徒の集団であるということを物語ってもいるのである。

かつて埼玉県の私学で働いていたことを埼玉県外の同業者に話すと、口を揃えて「埼玉県の私学はブラックでしょ」と言われる。

私学の界隈は極めて狭いので、一方がやっていることを他方が真似るということは往々にして起こりがちである。

給与の低さといい、長時間勤務の可能性といい、ひとり埼玉栄はブラックと評されても仕方がないとは思うが、同じようなことを埼玉県内の他私学がやっていても不思議ではない(実際、拙の前任校はやっていた)。

日本大学提携校

本校は2012年(平成24年)度より、全国に2校しかない日本大学の提携校である(もう1つは宮城県東北高校)。附属校ならぬ提携校からの日大受験がどのようなものであるか、詳細に説明するところがないのでわからないが、同大附属校各校の生徒と同様に「基礎学力到達度テスト」を受験し、それによって同大へエスカレーター進学ができるようである。

日大基礎学力到達度テスト | 埼玉栄高等学校

 

佐藤栄学園の現理事長である森山憲一氏は1957(昭和31)年より日大に職員として勤務し、2008年より同大の常務理事を務めている。他方、佐藤栄には1972(昭和46)年より理事・評議員として関わっている。

現理事長と日大とのコネクションが、本校を日大提携校にしたと考えるのが自然だろう。

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栄東か広尾か(ID:3244153)3ページ - インターエデュ