青翔開智

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鳥取市に所在する中高一貫校四天王寺学園と同じく2014年に開校という、極めて新しい学校だ。また鳥取県東部においては初めての中高一貫校とのこと。

 ま た 開 智 か 。

 青翔にしても開智にしても、所在地と全く関係がなさそうだ。地域の人材育成を担うはずの中高校が地元には興味がないように見える。経営法人の「鶏鳴」という長く使われてきた名前にも、経営者たちは愛着がなさそうだ。

新設校、あるいは変更校名の「キラキラネーム」も考察してみると面白いかもしれないな。

学部新卒の月額約20万円はいいとして、院新卒やそれどころか博士号取得者(最も若くても28歳だ)の月額22万円は安すぎてありえない。ガキの遣いじゃあるまいし。

山口県宇部市の慶進を紹介したときにも書いたが、島根県だの鳥取県だの、中国地方以外の人間からすればどこにあるのかわからない(さすがに山口県どこにあるかはわかるか、九州と本州との連絡口だ)ような県の学校がことほど斯様に安い給料しか出せないようでは、高学歴者、特に高偏差値大学ないしその大学院を出た人材が来るはずがない。

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 もう1つ面白いと思ったのが、一次試験の「スカイプ面接」だ。ICT教育に力を入れているという同校らしい方法だが、要は遠方からも応募者に受験してもらいたいということなのだろう(「学校近くにお住まいの場合〔中略〕ご来校の上、面接を受けていただきます」と書いている。)

 遠方から優秀な教員を引っ張りたかったら、給料の額を増やすしかない。

四天王寺学園

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 大阪府藤井寺市に所在する中高一貫校。と言っても、中学は2014年にできたばかり、高校は計画中(2017年度開校予定)というかなり新しい学校だ。

同法人は本校のほか、四天王寺四天王寺羽曳丘といった中高一貫校のほか、同大学、同短大を有する。本校には小学校も併設されている。

学部新卒月額で約28万円はなかなか高い。しかも期末手当も3回出るという。

開智(和歌山)

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さいたま市ではなく、和歌山市にある中高一貫校。アチラは1997年に中学校で開智を名乗り始めたが、コチラは4年早く1993年からである。旧校名は女子高の修徳高校といったようだ。

修徳」にしても「開智」にしても、どこにでもありそうな校名だ。恐らく仏教や中国の古典などから引用してくるから、多用されるんだろうが。

常勤講師の場合、22歳学部新卒で約21万円。専任だと「和歌山県職員給与規定をベースに優遇」だという。

f:id:RYUSUKE:20160803165519p:plain和歌山県高校教員の学部卒初任給は約20万円のようだ。恐らく常勤講師と変わらないということだろうか。

千葉明徳

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 千葉市にある中高一貫校。学部新卒の専任で月額約23万円、常勤講師で約23.7万円と、本校独特の給与計算方法によれば講師のほうが給料よくなるという逆転現象が生じている。

もっとも、講師には住宅手当や休日部活動の手当てがない。前者にかんしては明らかな差別である。他方で講師は部活動を見なくてよい、ということでもないだろうな。

横須賀学院小

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神奈川県横須賀市にある私立小学校。同法人による中高と隣接し、小中高一貫教育を実施するキリスト教系。

学部卒月額22万円で、2年ごとに1万円ずつ昇給。賞与額は不明。

中高英語免許所持者に小学校でどんな英語を教えさせようというのか。小学生に中学の内容を先取りして教えても効果は薄いと専らの評判である。

開明

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大阪市に所在する中高一貫校。旧称の大阪貿易学院から1995年に現校名に改名(ダジャレではない)。2001年度より中学1年より順次共学化し、06年に全学年共学化が完了した。

専任、常勤講師ともに学部(?)新卒月額約25万円はまあまあいい。賞与が専任5か月、常勤4.5か月なので、年額はそれぞれ約425万円、約413万円が見込まれる。賞与の額(月分)は、私立校としてはありがちな値かと。

ウィキペディアの情報を鵜呑みにすれば、現在本校では部活動は週3日しか認められておらず、また高2での引退が制度化されているという。学業に、というか大学進学に力を入れていることの証左であろう。

部活動から手を引いて運動部を弱体化させることは、学校改革の第一歩である。運動部を切ることは、そのまま即、体育科教員を切ることに直結しうるからである。

基本的に異動のない私立校教員のなかでも、他教科に比べて、体育科の教員は23歳で新卒で入職してから一度も他校を知らずに定年まで勤めあげるケースが突出して多いように思われる。

長くいればそれだけ発言力を増す。それだけ校内の要職にも就きやすい。かつて勤務した学校では、高校副校長、高校教頭の1人、総務部長、広報部長、生徒指導副部長が体育科で占められていた。そもそもひとり体育科ばかりが専任教員、常勤講師が多く、非常勤講師は皆無であった――体育科の優遇策については経営者の思惑もあったように思われるが、詳しいことは言えない。

埼玉県の開智に勤務経験のある人物から、同校の改革について聞いたことがある。埼玉第一から開智へと学校を作り変えるときにまず行われたのは、体育科の教員を減らすことだったという。現在同校の体育の授業は、大半が非常勤講師で賄われているようだ。

私立中学を受験させるご家庭は、進学先の高校野球部が甲子園に行けるかどうかなんて全く興味はない。それよりも東大に、早慶に、医学部に何人入ったかだけが重要なのだ。その意味で、高校部活動、特に運動部に力を入れている(例えば、スポーツ推薦で高入生をとるような)中高一貫校は的が外れている。

鴎友学園女子

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東京都世田谷区に所在する女子完全中高一貫校。初任給が学部卒で約26万円、院卒で約29万円は、かなりいい。

本校における英語の授業の特徴は、低学年におけるオール・イングリッシュの授業である。文部科学省もそれを要求しているし、「国際派」の受験生やそのご家庭にもアピールできるだろう。

もっとも、全て英語で授業することが果たして効率がいいかは、甚だ疑問である。細かい英文法をどうやって英語で説明するのか、オール・イングリッシュの推進者たちに尋ねてみたいものである。

……英語の授業を全部日本語でやってもよいと主張したいわけでもないので、念のため。