八王子実践

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東京都八王子に所在する中高一貫校。とにもかくにも、女子バレー部が超強豪で有名である。関東大会に56年連続で出場している、とか。

学部新卒初任給は215,000円。高いとは言えないが、まあまあか。

賞与は年間5.1か月というが、初年度減額ありという文言が不愉快だ。ならば初年度賞与は何か月分なのかを明記しておくべきだ。

差し当たり、初年度減額なしとして年額を計算してみる。

215,000×(12+5.1)=3,676,500円

「選考過程で常勤講師としての採用を依頼する場合があります」という一文も腹立たしい。なら募集職種を「専任教諭または常勤講師」とすればよいではないか。

そもそも応募者に常勤講師になってほしいならば「常勤講師としての着任を依頼する」と書くべきではないのか。採用するのはそちら、学校側だろうに。

大学進学実績について。2017年度大学入試における各大学合格者数は、国公立大学では群馬大1、首大1、都留文大1…。

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平成28年度卒業生の日東駒専以上の進学者(61名)は、前年度(24名)に比べ倍増しました。

 本校は自身の大学合格実績をこのように言って誇るわけだが、「日東駒専以上」という言い方に引っかかる。

多分、合格偏差値をもって大学の格付けをしたいのだろうが、これを高校が言ってしまうのはいかがなものか。日東駒専以下の偏差値帯の大学に進学した卒業生にたいする配慮を全く欠いている。

当方も様々な学校のウェブサイトで進学実績を閲覧してきたが、具体的な大学名、ないしは精々「旧帝大」「国公立大学」「早慶上理」のようなカテゴリに加え、それらの合格者や進学者の数など、客観的データを示すだけに留めるのが大勢である。その際学校は、どの大学はどの大学よりも良いの悪いのとは敢えて言うべきではないはずだ。

他方、当方のような学校を格付けする者にとっては、日東駒専以上の偏差値帯の大学に前年(2016年)度は24人しか、今年度は倍増したとはいえ61人しか、進学していないという事実は、大して自慢できるものではないようにも思われる。

運動部が有名。不誠実な求人広告で、しかもその日本語もおかしい。卒業生への配慮を欠く。自慢の進学実績も一般的観点から見ればイマイチ。これが八王子実践のわかりやすい短評である。

こういう求人広告を見れば、頭のいい人材は応募を避けるだろう。優秀な教員が集まらないから、進学実績も上がらない。求人広告を見るだけで、その学校の進学実績が説明できてしまうのである。

関西大倉

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大阪府茨木市に所在する中高一貫校。前身の1校である大阪大倉商業学校は1907年に実業家、大倉喜八郎ホテルオークラなどを創業)が創立した。他方の前身、関西商工学校は1902年に開校し、両校は1948年に合併、現校名となった。

つまり現校名は前身2校の合成名ということか。だから「関西大・倉高校」と誤認され、関西大の関連校と間違われるのだ。

ちなみに大倉喜八郎は東京に大倉商業学校(現・東京経済大学)および韓国ソウル市に官立商工学校(現・ソルリン[善隣]インターネット高校)を創立している。東経大の公式行事には本校の理事長、学長が招かれるなど、交流が行われているようだ。

本校ウェブサイトによれば、2017年度大学入試における各大学合格者数は、京大3(2)、阪大17(9)、国公立大医・医2(0)、などである(カッコ内は現役生数、以下同様)。いわゆる難関国公立大の受験については、見るべきところはない。

関西私大では同志社大51(30)、立命館147(94)、関西大78(53)、関西学院大75(56)などの合格者数が出ている。土地柄、関西の私大には滅法強いという印象だ。

学部卒初任給は専任教諭で月額約25万円(内、本俸=基本給198,000円)だという。常勤講師も同じく月額約25万円だが、諸手当は別記されている。単純に月額だけの比較で言えば、常勤講師のほうが額がよいということか。恐らく賞与の部分で差がつけられるのだろうが。

早稲田大学本庄高等学院

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期せずして、早大系列校の紹介が3校並ぶことになってしまっている。

埼玉県本庄市に所在する共学校。早実早稲中高とは異なり、学校法人早稲田大学が直接運営する、早大の附属校である。同大の附属校には他に、早稲田大学高等学院・中等部(東京都練馬区)がある。

修士課程修了者35歳の教諭の給与月額は437,800円。賞与は年2回。

私立中高の業界では、基本給の月額として年齢×1万円の額が出ていると、その学校はまあまあ給料がよいと言われる。35歳の人には35万円、という具合である。

早大本庄はこの基準よりも87,800円高いことになる。

早稲田

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東京都新宿区に所在する完全中高一貫男子校。近傍に早稲田大学があり(徒歩1~2分)、また校名に早稲田を冠してはいるが、同大の附属校ではない。早実と同じく系属校を自称し、経営法人は別である。創立には同大関係者が関わっている。

1895年に早稲田中学校として創立したが、東京専門学校が早稲田大学に改称したのは1902年なので、「早稲田」を冠したのは本校が先である。まあ早稲田は単なる地名にすぎないのだが。

インターエデュによれば、2017年度大学入試における各大学合格者数は東大30人(全国20位)、国公立大医・医17人などであり、進学校としての評価は高い。この高校の成績トップ層はエスカレーターで早大なんかに入ることはないだろう。

24歳例で月額307,450円! 24歳ということは、学部新卒2~3年目ということか。

賞与は初年度5か月分、2年目以降は6か月分になる。

初年度:307,450×17(か月)=5,226,650円

2年目:307,450×18(か月)=5,534,100円

拙の現任校からかつて本校に転職した教員がいるという。又聞きだが、給料2倍、勤務時間半分、だという。いくらか話は盛られていると思うが、納得。

早稲田実業

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東京都国分寺市に所在する小中高一貫校。いわゆる「早実」。本件は中高の教員募集である。

「早稲田」と校名に冠し、早稲田大へのエスカレーター進学者も多く(って言うか希望すればほぼ全員)、創立者も同じ大隈重信であるが、運営法人は異なっている。早稲田大学は学校法人早稲田大学、本校は学校法人早稲田実業学校である。ゆえに本校は早大の附属校ではなく、系属校を自称している。

もっとも、学校法人早稲田大学の理事長(=「総長」)は学校法人早稲田実業学校の理事長を兼ねるのが慣わしだそうな。

ゆえに実態から言っても、受験生の印象から言っても、本校は「早大エスカレーターで行ける」学校である。

学部新卒初任給は228,950円。早大系列の学校は給料がいいという評判だが、初任給はその割ではない。

淳心学院

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兵庫県姫路市に所在するキリスト教系完全中高一貫男子校である。

しがくドットネットによれば、2016年4月現在の生徒数は、中学407人、高校379人。スタディ中学受験によれば1学年3クラスなので、全校で18クラスだろうか。小人数、小規模校であると言える。

インターエデュによれば、2017年度大学入試における各大学合格者数は東大1、京大1(うち現役1)、国公立医・医は6(うち現役2)である。

完全一貫でこの程度の実績ということは、イイトコの子息ばかりが入学する典型的なお坊ちゃん学校なんだろうな。

大卒初任給の月額は251,838円。あくまでも印象論だが、キリスト教系の学校は給料がよいところが多いように思う。

またこの払いの良さが、経営基盤の良さを窺わせる。財務状況が安定しているがゆえに、生徒数が少なくても大丈夫なのであろう。

もっとも、財務が悪くなってきていても一度上げた人件費を下げられず、経営を圧迫している、なんてこともありえたりして。

攻玉社

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東京都品川区に所在する完全中高一貫男子校。前身を辿れば1863年創立、2013年に150周年を迎えた、日本屈指の伝統校である。

インターエデュによれば、2017年度大学入試における合格者数は東大14(現役12)人、京大1人、国公立医・医は11(現役9)人。進学校としてはなかなかの実績と言える。

高橋雄・昌平中学校副校長は、本校中学教頭、本郷中高校長を経て、現職にある。

学部卒初任給は月額250,100円という。結構いいな。歴史が長いということはそれだけ卒業生も多いわけで、すなわち寄付金の原資もたくさんいるというわけだ。