聖学院

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東京都北区に所在する準完全中高一貫男子校。高校においては帰国生のみを募集することから「準完全中高一貫」と呼ばれる。

学部新卒の給与月額は238,358円と、まあまあよいか。賞与が年1回しかないのは、本件の契約期間は今年度末までの産休代替の常勤講師募集だからであると思われる。

模擬授業で電子黒板

ところで、本件採用試験にさいしては模擬授業が求められている。

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「電子黒板をご利用いただけます」という言いかたは、使っても使わなくてもよい、と理解されうる。

ところが、同時に行われる非常勤講師の採用試験にかんしては、事情が異なるようだ。

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「電子黒板を使用していただきます」という言いかたは、それを使わなければならない、という意味だろう。

なぜ常勤講師では強制されないことが、非常勤講師では強制されるのか、理由が全く見当もつかない。少なくとも、両方とも年度途中から今年度末までの契約での募集なのだから、電子黒板を使いこなせる即戦力がほしいのは両募集同じではないのか。

もっとも、電子黒板を使えばいい授業になると思っているとしたら、それは甚だお門違いだが。

「21世紀型教育」の授業と教員

さて、本校ではどんな授業をしているのか。本校ウェブサイトに「私立学校研究家」本間勇人氏が書いた文章が載っている。一節引用しよう。

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☆こうして、レディネスはやがて輻輳するメタファーの展開となっていく。輻輳の風は、人工的なプログラムの雰囲気を自然な雰囲気にし、プレイフルにする。これはMITメディアラボの十八番である。「タロという人間嫌いの像が病気で倒れている。薬をのまさなくてはならない。それにはどうしたらよいか」という問題解決のプロセスを物語のメタファーで考えさせる。

「変わる教育 聖学院 君もクリエイティブクラス」 本間勇人氏のブログから | 聖学院中学校・高等学校

(°Д°) ハア?

あまりにリリカルかつポエミックなので、何が言いたいのか理解は容易でない。この引用に悪意があると思う向きは、原文を参照されよ。やっぱりわからないと思うけど。

別のサイトでは本校のいわゆる教員研修の様子が、同じ本間氏によって描写されている。

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リフレクションには、第三者の触媒機能があると、自分たちにとって、当たり前のことも、実は重要であったと気づくことがある。そこで、助っ人として私もときどき参加する機会を得る。

今回は、3つのプログラムが行われた。1つ目は、SGT自身が作成した「6か年一貫教育 状態目標」を深く共有し、その多様な目標を達成するために究極の「知のスキル」は何か対話した。この対話は「ダイアローグ」で、具体的なイメージを共通感覚に置き換え、最終的には統合ステージに飛翔するプログラム。聖学院のSGTは対話をしながら、眩暈を恐れずに、螺旋階段を一気に駆け上った。

聖学院の授業でコペルニクス的転回体験。 | 21世紀型教育機構

(°Д°) ハアア?

「飛翔する」とか「眩暈を恐れずに、螺旋階段を一気に駆け上がった」とか、どうして単なる教員研修の説明に、事程斯様に詩的な表現がまろび出ようか。

またしてもこの調子である。SGTとは「スーパーグローバルティーチャー」のことだそうだが、要はスーパーなグローバルなティーチャーズがトゥギャザーして、ベリーハードにトライしているということくらいしか、アイドンノウ。ハウバウチュー?

「21世紀型教育」の宣伝方法

閑話休題

本校は「21世紀型教育」を標榜する学校の1つである。それは、従来の(彼らが「20世紀型教育」と呼ぶ)単なる暗記とそのアウトプットに依らない、ゆえに東大を頂点とする大学受験ヒエラルキーの価値観に捕らわれない教育である。

「21世紀型教育」というものを否定するつもりは全くない。それがよいか悪いかは、各受験生とそのご家庭によくよく吟味して、判断してもらえばよい。

だがそれを宣伝するときに、一見するとスゴそうな雰囲気は伝わってくるのだが、中身がよくわからないような伝えかたをするのには、疑義を呈したい。「21世紀型教育」の旗振り役である本間氏の筆致はプラスチックワード、またはバズワードの連続ではないか。

新たな価値観に正当性を与えるときに、未だ人口に膾炙しない、新たな表現や語彙でもってそれを説明することは、しばしば見られる。

例えばコンピュータやインターネットの分野を見るとよい。それらに関連する「ユビキタス」という言葉は一時もてはやされたが、今はどこかに消えた。「ウェブ2.0」という言葉が恐らくそれに続くだろう。「IoT」という言葉または略号を十分に理解している人はどのくらいいるのだろうか。

あるいは、あるアイディアやイデオロギーを喧伝するさいに、大言壮語でもって事を為そうとするのは、古くはナチスドイツにおいて既に見られていた(言語学者のクレンペラー「第三帝国の言語」と呼んでいた)。

果たして、バズワードなり大言壮語なりをもって宣伝することが人々の目に知的に映るだろうか。こと教育の分野においてそれをすることが、果たして賢明だろうか。

少なくとも賢明なる受験生諸氏は、志望校を選定するさいにはこのような認識を持っておいてもらいたい。

山村学園高校

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埼玉県川越市に所在する共学校。旧名を山村女子といったが、2008年度より共学化し、現校名になる。

学部新卒の給与月額235,000円はまあまあか。賞与を何か月分出すのかまで明記すべきだろう。

進学実績については、見るところはない。

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山村学園高校 | 朝霞・志木・新座地域密着、高校受験 責任指導 学習塾の萌学舎

 

同県朝霞市にある塾の証言である。

時間講師というのは、非常勤講師のことであろう。これが全教員の25%すなわち4分の1であり、またクラスも4クラスに分かれているという。まさか一番下のクラスにばかり非常勤講師が割り当てられてはいないだろうな。

言うまでもなく非常勤講師のほうが教科指導力がない、なんていうのは根拠のない話で、むしろその学校で長らく教えているヴェテラン専任教員のほうが、教えかたが下手なんていう話はザラである。その地位に安穏として、知識や指導法をアップデートしないからだ。

桐光学園

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神奈川県川崎市に所在する中高一貫校。系列には小学校もあるので、小中高一貫教育を施してもいる。

同じ神奈川県下には名前が似ている桐蔭学園もあるが、本校は桐蔭学園に範を取り、桐蔭の教育システムを導入したという。

男女併学もその1つであろう。それは授業が男女で分けるが、部活動や学園祭など課外活動は共有するというものである。果たしてそれにいかほどの教育的効果があるのかと、別学の高校に育ち、共学校で教える人間は疑問に思う。

校名の由来は、創立者の小塚光治が東京高等師範学校出身で、同校校章の「桐」に由来するという――が、これも桐蔭を真似ただけではないのか(ちなみに桐蔭の創立者である柴田周吉や鵜川昇もまた東京高師出身)。ちなみに「光」の字は、前回紹介した埼玉栄同様に、創立者の名前から。

3年目以降 年額:専任教諭(学部卒)

210,600(円 / 月額)×(12+4.93)(か月)=3,565,458(円)

3年目以降 年額:専任教諭(大学院修士課程修了)

235,144(円 / 月額)×(12+4.93)(か月)=3,980,987.9(円)

 

年齢×1万円にはやや足りないが、修士課程修了者なら初任給として24万円もらえるのはまあまあか。

運動部が盛んらしい。野球部から松井裕樹(現・楽天)、サッカー部からは中村俊輔(現・ジュビロ磐田)らを輩出。

かつて本校で常勤職にあった人物とたった3か月間だが同僚になったことがあり、中村を教えていたそうだ。曰く、彼は勉強ができたらしい。

他方、この元同僚自身が問題ある人で、授業のやり方だかその中での発言だかに生徒やその保護者からクレームがつき、1学期が終わると同時にクビになり、同僚ではなくなった。

桐光学園にかんして最も印象の強い関係者は、この人である(笑)。

埼玉栄

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埼玉県さいたま市に所在する中高一貫校

系列校として栄東、栄北高、花咲徳栄(はなさきとくはる)高などがある。佐藤栄(さとえ)学園が運営するこれらの学校の校名は「栄」の字を共通して持つが、それは言うまでもなく創立者、故・佐藤栄太郎に由来する――花咲徳栄の由来については同校はこじつけめいた説明をしているが、誰が納得しているのか。

一般企業ならいざ知らず、自分の(しかも下の)名前を学校名に入れるか? このことのみを取り上げても、同学園が創業家のワンマンであったことを窺わせる。

過日報じた秀明・秀明英光高がそうであるが、今年(2017年)度になって埼玉県私学各校は求人募集に際して待遇を明示するようになってきた。去年は、開智学園を除けば、「本校規定による」等で逃げる学校ばかりであった。

本校を運営する佐藤栄(さとえ)学園は、開智学園と並んで、埼玉県有力私学の一角である。そこが待遇を公開してきた。賞与は4から5か月分の間ということのようなので、最大と思しき5か月分で計算する。

初年度 年額:専任教諭/常勤講師(学部卒)

213,000(円 / 月額)×(12+5)(か月)=3,621,000(円)

初年度 年額:専任教諭/常勤講師(大学院修了)

220,000(円 / 月額)×(12+5)(か月)=3,740,000(円)

 

院修了の月額220,000円は安すぎである。学士と修士では大した違いはないと考えているのだろう――院修了者としては同意するところだが、同校がそう認識していることを、応募する院修了者は覚えておいたほうがいいだろう。

10時間授業:それってブラック学校・・・

とあるセミナーで本校の教員と話す機会があった。かつて埼玉県内の私学で働いていたことを話すと、盛り上がった。

「現任校は中学も高校も6時間目までしかないことに驚きましたね。前任校では8時間目までやってました。8時間目が終わるのは午後6時前ですよ」

栄「ウチは10時間目までやっていますよ。終わるのは午後9時です」

「えッ?」

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サポートシステム | 埼玉栄高等学校

 

正課の授業ではないにしても、恐らく(所属コースなどによっては)必修つまり強制受講である。これを一体誰が担当しているのか知りたいものだ。もし、朝からフルタイムで働いている常勤教員が担当させられるのだとしたら、お気の毒なことだ。

「主体的に放課後の時間を組み立てる」という文言は、一体何の冗談かと思わされる。生徒たちが本当に主体的に放課後の時間を活用するならば、強制的な講座は設けるべきではない。生徒たちは自分たちで考えて自学自習すべきだし、教師たちは彼らがそうしたくなるような指示や工夫を正課の授業に盛り込むべきである。

もっとも、能力の低い生徒たちは自分たちではそうした行動をとることができないし、また教師が促すことも難しい。だから放課後の強制的な補講は理には適っているが、それは翻って言えば、本校はそういう生徒の集団であるということを物語ってもいるのである。

かつて埼玉県の私学で働いていたことを埼玉県外の同業者に話すと、口を揃えて「埼玉県の私学はブラックでしょ」と言われる。

私学の界隈は極めて狭いので、一方がやっていることを他方が真似るということは往々にして起こりがちである。

給与の低さといい、長時間勤務の可能性といい、ひとり埼玉栄はブラックと評されても仕方がないとは思うが、同じようなことを埼玉県内の他私学がやっていても不思議ではない(実際、拙の前任校はやっていた)。

日本大学提携校

本校は2012年(平成24年)度より、全国に2校しかない日本大学の提携校である(もう1つは宮城県東北高校)。附属校ならぬ提携校からの日大受験がどのようなものであるか、詳細に説明するところがないのでわからないが、同大附属校各校の生徒と同様に「基礎学力到達度テスト」を受験し、それによって同大へエスカレーター進学ができるようである。

日大基礎学力到達度テスト | 埼玉栄高等学校

 

佐藤栄学園の現理事長である森山憲一氏は1957(昭和31)年より日大に職員として勤務し、2008年より同大の常務理事を務めている。他方、佐藤栄には1972(昭和46)年より理事・評議員として関わっている。

現理事長と日大とのコネクションが、本校を日大提携校にしたと考えるのが自然だろう。

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栄東か広尾か(ID:3244153)3ページ - インターエデュ

品川女子学院

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東京都品川区に所在する女子完全中高一貫校。旧校名を品川中学校、同高校といったが、1991年に現校名へと改称。2004年度より完全一貫化。後述するように、芸能活動が許可されている。

年額:専任教諭(学部新卒)

245,000(円 / 月額)×(12+5.48)(か月)=4,282,600(円)

年額:専任講師

(1年目)300,000(円 / 月額)×(12+0.75)(か月)=3,825,000(円)

(2年目以降)300,000(円 / 月額)×(12+1)(か月)=3,900,000(円)

 

専任教諭の初任給月額245,000円はまあまあよいが、5.48か月分の賞与は決して恵まれてはいない。

かつて広末涼子はこの学校を卒業し、早稲田大学教育学部へと推薦入学を果たしたが、5年在籍して取得単位数たったの30で退学した。 そういういい加減な生徒を推薦する、いい加減な学校であると拙は認識している。

たとえ待遇がよかったとしても、そういういい加減な学校に勤務したいとは拙は思わない。

もっとも、23区内女子校に勤務経験のある女性同僚に言わせると、拙のようなガラの悪い人物は、女子校には合わないとのこと(笑)。

青翔開智 (2)

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鳥取県鳥取市に所在する中高一貫校

なお今回の求人募集は厳密に言えば本校と、それと同一法人傘下のあすなろ高等専修学校との合同である。

本校の求人募集については昨年も報告したが、それとは条件が変わっている。

専任教諭(月額)

【学部新卒】(2017) 197,400円 → (2018) 209,000円

【院新卒】(2017) 215,100円 → (2018) 221,000円

常勤講師(月額)

(2017) 180,000~200,000円 → (2018) 180,000~250,000円

 

昨年当ブログは本校の待遇が、特に院修了者にたいしては、安すぎると苦言を呈した。それが若干ながら改善したのはよい傾向である。これでもまだまだ安いと思うけれど。

前回報じたスカイプ面接については、記載がない。

千葉明徳 (2)

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千葉県千葉市に所在する中高一貫校。系列として短大1校、複数の幼稚園や保育所がある。

本校の採用情報については昨年も報告したが、それとは条件が変わっていた。

昨年は賞与分については、1年目は専任教諭についても常勤講師についても、2.55か月であったが、それが今年は1.7か月分に減額されているのである。すなわち専任教諭で年収が195,500円、本校モデルによる常勤講師で64,450円、年収が減っているのである。2年目以降はともに3か月分で変更はない。

もっとも、2年目以降の3か月分も、決して多くはない、というか、少ないのだが。

常勤講師の減り幅が小さいのは「分掌手当」が2017年度採用では月額50000円だったところ、2018年度採用では月額60000円になっているからである。本校は担当コマ数によっては常勤講師のほうが月給がよくなるのだが、どういうわけか。

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本校は何が有名なのか、イマイチわからない。運動部も進学実績もパッとしない。

本校ウェブサイトによれば、雑誌『サンデー毎日』では、塾イチオシの中高一貫校ランキングで「面倒見のよい」学校千葉県内第1位、「生徒や保護者に勧めたい」学校同3位に選ばれたという…。

パスナビによれば、中学の生徒数は各学年1クラス20~25人の2クラス、全6クラスである。この数字を見るだけで、本校は中学受験の人気校ではないことがわかる。