サレジオ学院

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神奈川県横浜市に所在する完全中高一貫の男子校。

新卒初任給は、学部卒で23.4万円、院卒で25.2万円(いずれも2016年度実績)。この額は決して高いものではない。例えば同じ神奈川県内の洗足学園は月45万円くれるようだ(もっとも、洗足学園の数字のほうが例外とも思えるが)。

あとは年2回の賞与を何か月分くれるかだ。

志学会 (4)

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4月14日(金)、通信制志学会高校(埼玉県北葛飾郡杉戸町)において入学式が行われたという。

同校フェイスブックに掲載された画像によれば、今年度の入学式が16回目だそうだ(上掲画像はスクリーンショットにて取得)。すなわち第1回は2002年(平成14年)度と考えられる――通信制だから年に複数回入学式を行っているという事情もなさそうだ。それは前身の彰華学園(2002~09年)、真英舎(09~12年)時代の通算回数であると言えるが、同校は前身の2校からただ単に敷地や施設、生徒や教職員を譲り受けたわけではなく、学校として、あるいは法人として連続性を保っているわけだ。

同校ウェブサイトには「沿革」のページがない。すなわち創立年度すら書かれていないのである。以前同校のパンフレットも見たが、そこにも書かれていない。創立から今までどのような教育活動をしてきたか明らかにしていない学校が、何を根拠にして受験生に魅力を訴えようとするのだろうか。

国立学園小

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東京都国立市に所在する私立小学校である。

大卒の(恐らく初年度の)月額263,245円の内訳は、基本給205,100円、教職調整8,204円、義務教育手当7,300円、特別手当42,661円という。

また2年目以降の賞与は5.25か月分というが、これは基本給で計算されるだろうから、205,100×5.25=1,076,775円となる。

従って2年目以降の年収額面は263,245×12(か月)+1,076,775 = 4,235,715(円)となる。

時は既に2017年度である。

この募集は、年度途中の補充ではなく、年度当初からの授業を担当させるものだと思われるが、今頃やっているのか。準備不足の謗りを免れない。

恐らく、担当予定者がドタキャンしたのだろうが、人材を繋ぎ止めておけない学校に問題がある。

昌平中学 (4)

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4月7日(金)昌平中学校の入学式が行われ、85人が入学したという。

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先日当ブログは、本校が96人程度の新入生を見込んでいるのではないかと予想していた。さすがにそれは楽観的な読みであったが、少なくとも入学者数が増えるという予想は当たった。歩留まりも3割を越え(32.9%)、初めて定員(80人)を充足した。ウェブサイト掲載の画像を見ると、中1は3クラス編成になったようだ。

これらは、2016年度大学入試において同校併設の高校より3人の東大合格者を出した効果であると言える。

あとは一貫生が東大なり国公立医学部医学科なりに合格すれば、また結果が変わってくるであろう。

校名に見る私立校の思惑 (2) ――帝京大学グループの場合

第89回選抜高等学校野球大会(2017年、センバツ)には愛媛県大洲市帝京第五高校も出場していた。

ちなみに帝京第三高校は山梨県北杜市に所在する。ところが不思議なことに、帝京大学帝京科学大学帝京平成大学などの帝京大学グループには、「第一高校」「第二高校」「第四高校」は存在せず、また過去に存在した形跡もない。

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調べる過程で頭が混乱した。

「第一」「第二」「第四」がない理由はもはや確認しようもないし、そもそもなぜ第三(帝京学園)と第五(帝京科学大学)の運営法人も違うのかも理由は不明だ。

帝京冨士(とみす)は全寮制らしいから、同じ市内でも第五とは受験者層は重ならないかもしれない。しかし帝京大学高校帝京八王子高校も同じ八王子市内にある。生徒募集のときにパイを食い合いはしないのだろうか。

結論として辿り着いた推測は、恐らくこのグループにおいて、帝京大学帝京学園帝京科学大学、冲永学園(と、これらに加えて帝京平成大学)の各法人は、ほぼ一体として運営されている、ということだ。もっとも、そうすることによるメリットもデメリットも今のところわからない。

ただ校名のつけ方や設置場所を見る限り、何やら無秩序な運営をしている印象を受ける。東海大(や日大)のように附属校を地域密着にして生徒を大学へと吸い上げようというわけではなさそうだ。

ウェブサイトを見ていると進学実績を強調したいようにも見えるので、その点では地域を捨て去り「帝京グループ」という拡がりのイメージを持ちたいのかもしれない。そのとき(特に難関の)大学進学において「帝京」という名前がポジティヴなイメージを持つ助けになるかは疑問であるが。

校名に見る私立校の思惑 (1) ――東海大学附属校 校名の変遷から

センバツ(第89回選抜高等学校野球大会)、3月28日(火)の東海大福岡早稲田実業の試合をテレビで見ていた。合間にアナウンサーが視聴者からの応援メッセージを読み上げた。「東海大福岡を応援しています。東海大五高時代の卒業生です。」

東海大福岡

言われてみれば聞いたことのない学校名であった。もっとも、東海大は日本中いたるところに附属校やら関係校やらを持っているので、拙に馴染みのない東海大ナニガシ高があってもおかしくなかった。

けれども五高が福岡に校名変更したという。

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調べてみると、近年、東海大附属のナンバースクール(一高、二高…)は揃って所在地名を冠した校名に変更している。付属望洋も同様に付属市原望洋に変わっている。

元々、静岡(旧・一高)は翔洋、市原は望洋というように、どういう意味が込められているのかよくわからないキラキラネームを背負っていた――熊本(旧・二高)にはせっかく変わったシワシワ校名に星翔というキラキラ要素もついでについてはいるが。

校名変更について、付属諏訪(旧・三高)は次のように言っている(原文ママ、強調は引用者)。

新校名である「東海大学付属諏訪高等学校」の「諏訪」には、本校が所在する長野県諏訪地域において、さらに地域根ざし、地域から愛される学校になる、という本校の強い決意が込められております。

東海大学付属第三高等学校:ニュース

同じく付属札幌(旧・四高)は次のように言う(強調は引用者)。

地域に根ざした「オンリーワン」の新たな学校をめざす改革の象徴として、校名変更を行うことが学校法人東海大学定例理事会において決定されました。

http://www.tokaisapporo.ed.jp/uploads/hs_news/232.pdf

東海大学の付属校は所在地回帰を考えているようである。

これは極めて興味深い現象である。というのも、最近の私立校は所在地名を含んだ旧名を捨て、見栄えだけはいいキラキラネームを選んできているからである。新設校でも同様の傾向だ。

当ブログでも紹介したことのある啓新慶進青翔開智開智開智開明翔凛と聞いて、それらがどこにあるかすぐにわかる人は相当の私立校中高マニアではないか。

埼玉県内において、開智と栄東が東大合格者数を伸ばしている理由として、岡林秀明は、校名から「埼玉」を除いたことにあるとみる。曰く、

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熱闘!東大合格市場あの超進学校がやっていること - 岡林秀明 - Google ブックス, p.228.

校名から地名を外すことによって、県域、市域などの地域を越えた生徒募集が可能になる、という発想はわからなくもない。恐らく、栄東や開智の躍進の理由の一部には、優秀な生徒が埼玉県内のみならず東京や千葉など他都県からも集まってきていることもあるだろう。実際のところ特別な事情がなければ、東京の受験生が埼玉とついた学校に毎日通いたいとは思わないだろう。

開智や栄東にはその系列校に大学はあるけれども、その大学を看板にして生徒集めをしてはいない。他方、東海大学という大組織は地域に根差して生徒募集をしようとしている――思えば日本大学の各附属校、係属校は(特別附属の一高、二高、三高と「日大日吉」、豊山など一部の正附属校を除けば)そもそもすでに地名を冠している。

地域を捨てる小組織と、地域に回帰する大組織、それぞれの意図が容易に透けて見えてくる。すなわち、東大を始めとする難関大に合格する高い学力を持った生徒を集めたい小さな私立校と、系列の大学に黙って上がってくれさえすればよい(ゆえに高い学力はいらない)生徒を集めたい附属校、である。

昌平中学 (3)

前回のエントリに引き続き、併設の高校での東大合格が中学の受験者数や入学者数に影響するという説を検証する。

以下は、昌平中学の受験データである。

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2016年度の受験者数が前年比で200%超、入学者数(73人)も過去最高となったのは、3年ぶりに高校で東大合格者(1人)が出たからだと思われた。けれども2017年度入試において、受験生たちは東大合格3人という数字を目の当たりにしているはずだが、受験者数(461人)は前年(466人)とほとんど変わりがない。

併設高校の東大合格者については、それがないと中学の人気が落ちるとは言えそうだが、毎年出たからと言って中学の人気も右肩上がりになる、とは言えなそうだ。

不思議なのは、2016年度において合格者を絞っている――合格率42.3%という数字は、今まで一番低い――のに、73人という入学者が残ったことである。歩留まりは37.1%という過去最高に高い数字である。

他方、次年(2017年)度は合格率56%である。仮に2016年度と歩留まりが同じであるならば、96人程度が入学生として残ることになる(258人×37.1%≒96人)。

意外に思われるのは、歩留まりが毎年伸びていることである。

合格ラインを何点にし、何人合格者を出すかのさじ加減は、ひとえに入試担当者の判断によるが、それはもはや職人芸、カンの世界だと聞いたことがある。各塾が行う模試での志望校順位だとか、入試後のアンケートなどから判断するらしいが、受験生のキモチなど簡単に読めたものではないだろう。

昌平中にかんして言えば、これまで一度も定員(80人)を満たしたことがないので、入学させたい学力を持った生徒だけが残るように合格ラインを設定しているとは思われる。そのうえで歩留まりが伸び続けているのだから、次年度も入学者数が増えるかもしれない。

ところで、併設高校での東大合格と中学の人気との相関関係については、開智未来中学を例に見てみよう。同校は埼玉県加須市に所在する中高一貫校であるが、昌平とも地理的にも難易度的にも近く、競合していると言ってよい。

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2015年度に初めて併設高校で東大合格者が出て、その翌年(2016年)度の受験者数は前年比124.6%となった。けれども2017年度は15年度の水準に戻っている。

開智未来を見てもわかるように、東大合格者が出ないと中学の人気は落ちるが、出ても人気が上がり続けるわけではないようだ。

一貫校にとって毎年1、2人程度の東大合格は最低限の条件なのかもしれない。

ただし前回も述べたように、その東大合格者は一貫生ではなく、高入生かもしれない。高入生の実績に憧れてその中学に入ることは果たして賢明であろうか。その意味では、一貫1期生から東大合格者を出した開智未来のほうが、東大志望の中学受験生には希望を与えるだろう。